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英国紅茶とトワイニングの歴史

300年以上にわたり、トワイニングは革新性、創造性、そして卓越したブレンド技術を磨き続けてきました。

私たちにとって紅茶は単なる飲み物ではありません。紅茶は日々の暮らしに寄り添い、何世代にもわたって紅茶を愛する人々とともに歩んできた文化そのものです。

西暦350年頃 中国におけるお茶の起源

お茶の歴史は二千年以上前にさかのぼります。

その起源には多くの伝説がありますが、最も有名なもののひとつが、中国の神農帝がお湯の入った鍋に木の葉が偶然落ちたことからお茶を発見したという物語です。

実際にお茶が飲まれていた最古の記録は、中国・雲南省の西暦350年頃に残されています。

その後、中国ではお茶の栽培方法が発展し、緑茶、紅茶、白茶など様々なお茶が生まれました。やがてお茶は中国の国民的飲料となり、茶館は人々の交流の中心的な場となっていきました。



1606年 お茶がヨーロッパへ

1606年、オランダ商人がジャワ島からアムステルダムへ茶葉を運んだことで、お茶はヨーロッパへ伝わりました。

お茶は上流階級の間で人気を集め、ポルトガル王女キャサリン・オブ・ブラガンザもその愛飲家でした。

1662年に彼女が英国王チャールズ2世と結婚すると、持参金として持ち込まれた紅茶が英国宮廷に広まり、やがて上流社会で流行します。

また、持参金に含まれていたムンバイの統治権は東インド会社に譲渡され、後に重要な貿易拠点となりました。



1664年 東インド会社と紅茶貿易

1600年、エリザベス1世は東インド会社に勅許状を与え、インドや東洋地域との貿易独占権を認めました。

1664年には中国茶100ポンドを英国へ輸入する最初の発注が行われます。

東インド会社はその後、南アジアで強大な影響力を持ち、インドでは事実上の支配者として振る舞いました。しかし1857年のインド大反乱以降、その権限を失い、1874年に正式に解散しました。

1684年 トワイニング家、ロンドンへ

トワイニング家はもともとグロスターシャーで織物業を営んでいましたが、不況のため1684年にロンドンへ移住しました。

当時9歳だったトーマス・トワイニングも家族とともにロンドンへ移り住みます。

当初は織物職人として修業していましたが、やがて茶貿易の将来性に魅了されます。まだ紅茶が一般的ではなかった時代に、その将来性を見抜いたトーマスは、紅茶ビジネスの世界へ足を踏み入れました。

1706年 トムズ・コーヒーハウス

1706年、トーマスはロンドン・ストランド地区の「トムズ・コーヒーハウス」を購入しました。

当時のロンドンには約2,000軒のコーヒーハウスがありましたが、彼は差別化のため高品質な紅茶を提供し始めます。紅茶人気の高まりとともに、茶葉販売は大きな成功を収めました。

当時、女性がコーヒーハウスへ入ることは一般的ではありませんでしたが、多くの女性たちは家庭で楽しむために紅茶を購入していました。

1717年 ゴールデン・ライオン誕生

紅茶販売の成功を受け、トーマスは紅茶専門店「ゴールデン・ライオン」を開店しました。

コーヒーハウスへの立ち入りが難しかった女性たちも、店舗での買い物は許されていたため、トワイニングは女性顧客へ直接紅茶を販売できるようになりました。

入口には金色のライオンが掲げられ、格式ある店舗として知られるようになります。

この店は世界で初めて茶葉とコーヒーを専門に販売した店舗のひとつと考えられており、現在もロンドン・ストランド216番地で営業を続けています。

1741年 ダニエル・トワイニングの時代

トーマスの死後、息子ダニエルが事業を引き継ぎました。

ブランドの評判はさらに広がり、1749年にはアメリカへの輸出も開始されます。

当時のボストン総督もトワイニングの顧客だったと記録されています。

1762年 メアリー・トワイニング、事業を継承

ダニエルの死後、その妻メアリーが経営を引き継ぎました。

女性が事業を率いることが珍しかった時代に、彼女は21年間にわたりトワイニングを支えます。

当時は高額な茶税によって密輸茶が横行していましたが、メアリーは密輸茶を一切扱わず、最高品質の紅茶のみを販売し続けました。

1783年 リチャード・トワイニング

1783年、リチャード・トワイニングが事業を継承します。

当時、紅茶には119%もの高い税率が課されており、密輸や品質改ざんが深刻な問題となっていました。

リチャードは首相ウィリアム・ピットに減税を提案し、1784年には税率が12.5%へ引き下げられます。

これにより紅茶は広く人々の手に届くようになり、英国を代表する国民的飲料へと成長しました。

1787年 ストランド本店のロゴ

現在も本店入口に掲げられている象徴的なファサードはリチャードによって設置されました。

両脇の中国人像はお茶のルーツを、中央の金色のライオンは創業当時の店舗「ゴールデン・ライオン」を表しています。

ここに掲げられたトワイニングのロゴは、現在英国で使用されている商業ロゴとして最古級のものとされています。

1788年 奴隷貿易廃止運動と砂糖不買運動

18世紀の英国経済は奴隷貿易と深く結びついていました。トーマス・トワイニング自身も1723年に王立アフリカ会社へ個人として出資し、約1か月後にその持ち分を売却しています。

しかし18世紀の後半になると奴隷制度への反対運動が活発化します。

1788年には、奴隷労働によって生産された商品の不買運動が展開され、紅茶に加える砂糖もその対象となりました。

約30万人がこの運動に参加し、1807年には英国で奴隷貿易が廃止されました。

1830年代 アールグレイ誕生の伝説

1818年に事業を引き継いだリチャード・トワイニング二世は、伝統を受け継ぎながら、首相をはじめとする顧客のために特別なブレンドを提供し続けていました。
伝承によると、中国への外交任務中、チャールズ・グレイ首相の使節の一人が中国高官の命を救ったことへの謝礼として、特別な紅茶とその製法を贈られたとされています。
その紅茶は英国へ持ち帰られ、グレイ伯爵に献上されました。
グレイ伯爵はその味わいを大変気に入り、1831年、トワイニングにこのブレンドの再現と販売を依頼しました。
こうして再現されたブレンドは、グレイ伯爵の名にちなみ、「アールグレイ」として知られるようになりました。2024年には、第8代グレイ伯爵アレクサンダー・グレイ氏が、トワイニングこそがオリジナルのアールグレイ・ブレンドであると公式に認めました。
300年以上にわたり磨き続けてきたトワイニングのブレンド技術は、アールグレイをはじめ、今日まで愛される数々のブレンドを生み出してきました。
その伝統は今日も受け継がれ、トワイニングのマスターブレンダーたちは品質と味わいの一貫性を守るため、毎週3,000杯以上のお茶をテイスティングしています。

1837年 ビクトリア女王より王室御用達を授与

1837年、ビクトリア女王はトワイニングを王室御用達紅茶供給業者として任命しました。
これは、王室に紅茶を納めることを許されたことを意味します。
以来、トワイニングは歴代すべての英国君主へ紅茶を提供するという栄誉を受け継いできました。
その品質と信頼は、現在に至るまで英国王室に認められ続けています。

1860年代 社会改革への貢献

トワイニング家は慈善活動にも積極的に取り組んできました。
エリザベス・トワイニングは少女たちの教育支援や医療支援を行い、妹ルイーザは高齢者や貧困層の支援活動を推進しました。こうした活動を通じて、姉妹は英国の社会改革に貢献しました。

1899年 トワイニング初の新聞広告

トワイニングは長年、品質と評判によって顧客を獲得してきました。
しかし、さらなる成長を目指し、ブランド初となる新聞広告を発表します。

1933年 「イングリッシュ ブレック ファスト」誕生

朝食に合う力強い味わいを目指して開発されたのが、イングリッシュブレックファストです。
ベーコンなどしっかりした朝食にも調和するこのブレンドは、現在も世界中で愛されています。

1939年 第二次世界大戦と紅茶

第二次世界大戦中、英国では紅茶を含む多くの食品が配給制となりました。
そのような状況下でも、トワイニングは赤十字を通じて捕虜支援用の物資へ紅茶を提供しました。
また、女性ボランティアサービスやYMCAの移動食堂を通じて、兵士や救助隊員、空襲被害者へ紅茶を届け続けました。
困難な時代において、紅茶は人々を励まし、つなぎ、心を癒す存在であり続けたのです。

1956年 初のティーバッグを発売

英国では長らくリーフティーが主流でしたが、北米市場ではティーバッグへの需要が高まっていました。
そのニーズに応えるため、トワイニングは初めてティーバッグ製品を発売しました。
これは伝統的な紅茶文化を守りながら、新しい飲み方を取り入れた大きな挑戦でした。
創業以来の伝統を大切にしながらも、人々のライフスタイルの変化に合わせて進化を続けてきたことは、トワイニングを特徴づける重要な価値のひとつです。

1997年 エシカル調達への取り組み

紅茶のサプライチェーンは複雑であり、生産者やその家族、地域社会の暮らしをより良くするためには継続的な取り組みが必要です。
こうした考えのもと、トワイニングは1997年にEthical Tea Partnership(エシカル・ティー・パートナーシップ)の創設メンバーとなりました。
この団体は、生産者、労働者、そして環境にとってより公平で持続可能な茶産業の実現を目指して活動しています。

2016年 「Sourced with Care」開始

2016年、トワイニングは責任ある原料調達プログラム「Sourced with Care」を開始しました。
このプログラムは、トワイニングの紅茶やハーブを育てる地域社会の生活向上を目的としています。
NGOや生産者、サプライチェーンパートナー、業界団体、労働者や農家と協力しながら、女性や若者のエンパワーメント、安全な水と衛生設備へのアクセス向上、労働者の権利保護、収入向上に取り組んでいます。
1706年の創業以来、トワイニングは品質へのこだわりと革新への挑戦を続けてきました。現在では、おいしい紅茶を届けるだけでなく、その原料を育む産地と人々の未来にも責任を持つブランドとして歩み続けています。